ETHICS for YOUTH
2024年夏号

[評]「潮風」が効いています。心ののふくらみと船出をイメージさせます。荒波も乗り越えて、と願わずにいられません。

[評]「消費期限」の言葉選びがいいです。下の句の「海」で世界を広げました。しょうそうかんがイメージ豊かに読まれています。

[評]「でも」以降が発見です。交わるはずのない空にも自分との共通点を見いだしました。そこから何かが始まりそうです。


 SNSの画像に「この人いったい何がりたかったんだろう」ととまどうことはありませんか。曇り空、電線、古い扉、郵便ポスト……あれこれと写り込んでいます。文章でも同じことが起きます。短い文章の中にいろいろな要素が入っていると、作者が何を伝えたいのか分かりません。レンズの焦点をしぼりましょう。

 時には要素を減らすことも必要です。上記の例だと、ポストは特に意味を持ちやすい要素です。書きたいことの中心でないなら、そこにあったとしても構図からは外します。何に焦点を当てるか、何を外していいか分からないのだとしたら、書きたいことがはっきりつかめていないのです。心の「カメラ」をいったん置いて自分と対話しましょう。

コメンテーター

エッセイスト
岸本きしもとよう

神奈川県生まれ。食や暮らし、旅のエッセーのほか、俳句にまつわる著書も多数。『俳句、はじめました』『NHK俳句 岸本葉子の「俳句の学び方」』など。

イラスト:髙田茂和

※この記事は『ETHICS for YOUTH』2024年夏号(No.6)に掲載した記事に加筆したものです。

皆さまからのご投稿を
お待ちしています。