アオイナツ、と聞いただけでまぶしくてワクワクするのはどうしてだろう。
なんだかよくわからない勢いがあるのが夏で、チャレンジしてみる勇気が出るのも夏で、ぐんぐんと成長できる季節も夏なのだ。
さらにいうなら、気持ちが解放されるのも夏で、わけのわからない衝動に駆られて何かをめちゃくちゃがんばってみたりするのも夏だし、恋が始まるのも夏だったりする。植物が成長するのも動物が大きくなるのも夏なのだから、ヒトにエネルギーがあふれるのも夏だというのはもっともに思える。
つまり、チャンスだ。夏こそチャンス到来だ。アオイナツは何をやってもゆるされるし、それでちょっとでもうまくいったら儲けもの。うまくいかなくたって失うものがないのが若さの特権だ。
大人になってからだと、なかなかそうはいかない。夏だからといって簡単には動き出せない。むしろ夏は、ただ暑いだけのつらくて長い季節でしかなかったりする。暑さが若さと共鳴して炸裂するような夏は若者だけのものなのだ。
だけどーーなんにもすることのない夏も素敵だ。特にキラキラしない、ウキウキするようなこともない、ただの夏。
部活や勉強、恋愛、旅行、楽しそうに謳歌する友達を横目に、なんにもやることがないなぁ、と部屋に寝転んでいるのもすごく大事なことだ。誰かのことをちょっと羨んだりしながら、だらだらと浪費する夏休み。ほんとうはもっとやるべきことがあったはずなのに、と後悔がつのるやるせないような夏休み。それも確実にアオイナツの一面だと思う。
陽気に飛びまわるだけが夏じゃない。何かに打ち込んで輝かなくてもいい。無為に過ごしてしまって、ああ、もったいなかった、私の夏を返してほしい、などと悔やむ人こそが、人としての味わいを深めている。次の季節へのエネルギーを溜め込んでいる。
そうして、特に何もなかったはずの夏休み明け、気がつくとひとまわり成長していたりするのだ。夏を満喫した友達は、ふたまわり成長しているかもしれないけれど。
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(構成:編集部)
小林さやか

宮下奈都さん
1967年福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒。2004年、「静かな雨」が文學界新人賞佳作に入選。2007年に発表された長編『スコーレNo.4』が話題となる。2016年『羊と鋼の森』が本屋大賞受賞。小説に『よろこびの歌』『つぼみ』『静かな雨』『遠くの声に耳を澄ませて』、エッセー集に『神さまたちの遊ぶ庭』などがある。
イラスト:牧角春那
※この記事は『ETHICS for YOUTH』2025年夏号(No.10)に掲載したものです。