例えば、今あなたが「勉強が好き!」と思えなくても、
「したほうがいい」ことは分かっているのでは?
勉強をしたくなくてモヤモヤしてしまうのは、
「変わろうとしているから」だと、葉一さんは言います。
勉強という壁を突破するためのコツを教えてもらいました。
そもそも、なぜ勉強は必要なの?
勉強は必須ではないけれど、多くのことを知っていればいるほど、生きていく上で気づきや発見が多くなり、人生が豊かになります。勉強がいいのは、スポーツや芸術に比べて、頑張った分だけ結果が出やすいこと。勉強に打ち込んで成績が上がれば、ポジティブな経験になり、その達成感がこれからの自分を支えてくれます。
授業が面白いと思えません
授業が面白いと思えないからといって、自分の能力が低いと思わないでください。先生との相性もあるので、「この授業で一つでも多くのことを覚えてやる!」というように考え方を切り替えてみましょう。授業時間を有意義なものにできますよ。
勉強していても、ついスマホに手が……
見える場所にスマホが置いてあると、つい気になってしまうもの。勉強中は、離れた場所に置いたりして、勉強する環境を整えましょう。好きなことをより楽しむためにも、やるべきことを先に終わらせる癖をつけること。勉強後にやるゲームは、何もしないでやる時よりも何倍も楽しいですよ。
集中力のつけ方を教えて
「30分数学をやる」というように、時間で区切って勉強をしていませんか?勉強時間を決めても、苦手な単元だったら時間がかかってしまいます。その方法がうまくいかなければ、「ワークを1ページやる」というように量で区切ってみてください。集中力はコントロールするもの。自分に合う対策を考えるのが、集中力をつけるコツです。
目標はどう設定したらいい?
「75点以上」など、目標点を明確に決めましょう。自分で設定できなければ、塾や学校の先生など第三者に聞くようにします。目標が高すぎると超えるのが難しくなるので、「次のテストでは10点アップ」など、今の自分の能力の少し上に設定するのがコツ。目標と自分の能力とのズレを修正することが成績アップにつながります。
試験前の気持ちの整え方を知りたい
普段から試験本番をイメージして勉強に取り組むようにしてください。その練習をしておくと、本番での不安や緊張が少なくなります。そして、寝る前にその日にやったことを振り返り、勉強した自分をほめる! 自分で自分をコントロールする方法を身に付けておきましょう。生活リズムを崩さないことも大切です。
やる気が出ません。やる気になるコツは?
残念ながら、やる気は待っていても出てきてはくれません。やる気が出てくるのを待つのはやめましょう。やる気がなくても、まずは1問でもいいから問題を解いてみる。すると、自然と「やってみよう」という気持ちが湧いてきます。さらに、これをやったら動画を見るなど、ご褒美を決めておくと、モチベーションも上がりますよ。
目の前の壁を突破するには?
本当に悩んだ時は人に頼りましょう。なんとかなると一人でもがいているより、身近な経験者の知恵を借りるほうが早く解決策にたどり着けます。身近に聞ける人がいなければ、ユーチューブなどのネットを頼る方法も。自分の悩みを具体化してハッシュタグで探せば情報もピンポイントで探せます。
テストで失敗してしまった
勉強が点数に表れる時期が人によって違うので気落ちしないで大丈夫。まずは、勉強の時間配分を見直してみましょう。自分のやり方が間違っていないか、先生に聞ければアドバイスを求めるのも効果的です。実力が伸びているのは間違いないので勉強を続けることが大事。続けるのはしんどいですけど、頑張って!
壁があるから成長できる。勉強するって面白い
勉強は生きる上で必須のことではないけれど、勉強ができた方がいろいろなことに気づけるようになって、人生が豊かになります。だから、もし今夢中になれることがなければ、まずは勉強をやってみてください。
私が塾で教えていた生徒たちは、勉強が苦手で99%は勉強ぎらい。でも、嫌いなものがあるって実はチャンスなんです。きらいなことでも楽して成果を出す練習ができますから。大人になって仕事をする時は、この“楽をして成果を出す”というスキルがとても役立ちます。だから今、嫌いな勉強を頑張ることは必ず将来につながるんですよ。
それに、勉強すれば偏差値も必ず伸びます。伸ばすためにも、自分に合う勉強法を見つけて説明できるくらいになることが大切です。勉強法を見つけるには、まずは同じやり方を続けてみること。ある程度続けないと、そのやり方が合っているかどうかも分かりませんからね。もし見つけられなければ、誰かに頼ったっていい。勉強のできる友だちや先生から知恵を借りるとか。その方が、早く正解にたどり着けることがあるかもしれません。
それから、勉強をしていればうまくいかないことももちろん出てきます。偏差値もずっとは上がらないし、「勉強しているのになんで?」と思うような壁にぶち当たることも。でも、そんな時こそ「壁にぶつかれるなんて、ラッキー」と思いましょう。できない問題があるということは、まだまだレベルアップができる証拠。成長できるチャンスをゲットできたと思って、前向きに壁に立ち向かってください。
勉強だけじゃなく、人生だってそうです。生きていれば、うまくいくことばかりではありません。壁や失敗に出会ってしまった事実は変わりません。
でも、過去は変わらなくても、過去の意味は変えられる。私はそう思います。失敗したけれど、それまで自分はがんばったから、こんなに変わることができた。そうやって過去の経験にポジティブな意味をつける。それは、未来の自分ができることです。
これから生きていく中で、うまくいかないこともあるでしょう。でも、それが悲しい事実で終わるかどうかは自分次第。不安もあるでしょうが、今できること、今やるべきことを一つ一つ進めることができたら、きっと笑顔になれる未来が待っています。そんな未来と成長できた自分と出会えて、損することなんて一切ない。だから勉強って面白いんですよ。
葉一
葉一
教育ユーチューバー。東京学芸大学卒業後、会社員、塾講師を経て、2012年ユーチューブ「とある男が授業をしてみた」を開設。「塾に通えない生徒が、自宅で塾の授業を受けられるように」という想いがきっかけ。授業動画はすべて無料。頼りがいのあるキャラクターと分かりやすい授業動画が話題に。チャンネル登録者数は196万人、動画累計再生回数は6.5億回を超える。メディア出演も多数。
写真:小林真純
※この記事は『ETHICS for YOUTH』2023-24年冬号(No.4)に掲載したものです。