[ 特集 ]ともだちの話をしよう

雑談ざつだんの人、サクちゃんことさくらばやしなおさんに、ユース世代の皆さんが友だちとのおしゃべりを楽しむコツを聞きました。

 「友だちを笑わせたい」とか、「盛り上がらなきゃ」「楽しくないと、おしゃべりする意味がない」とか思っていませんか? まずは、本当にそうなのか疑ってみてください。友だちと、意味のないことをダラダラ話す時間もいいものですよ。思い切って、おしゃべりのハードルを下げましょう。

 自分の好きなことを話してみましょう。「あなたは何が好きなの?」っていう友だちへの興味がベースにあると、気持ちよいおしゃべりができると思います。ポジティブだし、好きなもののことを話す時に、うそはつけないでしょう。なぜ自分はこれが好きかっていうのを言葉で言えるように練習しておくといいですよ。

 「本音で話す」って、自分の秘密を話すのでも、みんなが驚くすごいことを言うことでもありません。ただ、「自分が思っていないことは言わない」。それだけでいいと思うんです。友だちに合わせて話したり、人が喜びそうなことを言うのではなく、自分の言葉で自分の思うことを話すようにしましょう。

 思いにぴったりな言葉を探すのって難しいですよね。大人だってそうなのに、10代の人たちにとってはなおさらでしょう。すぐにでもできるのは、使える言葉の数を増やすこと。本を読む、映画を観る、大人の話を聞く……、そういうことで知っている言葉が増えれば、ぴったりな言葉が見つかるかもしれません。

 分かります。自分の好きなものを、友だちから「そんなに好きじゃない」って言われたらさびしいですよね。でも、たとえ否定されたとしても、自分の好きな気持ちがなくなるわけじゃない。何かが好きっていう気持ちは自分だけのもの。その気持ちを大切にして、誰かの好きなものも否定しないようにしましょう。

 「この人ともっと話したい」って思われているとしたら、それはお互いに関心かんしんを持ち合っている状態。きょうを持ってもらいたかったら、「この人はどんな人なんだろう?」と、知ろうとするのが大事です。聞いてみないと分からないっていうスタンスで接していたら、おしゃべり上手になっているんじゃないかな。

 学校に通っている間は、どうしても同じ部活だったり、しゅが同じだったり、共通点がある子と仲良くなるよね。心地よいから。でも、せっかく学校という場所があるんだから、気が合う友だちだけじゃなくて、気が合わなかったりする人とも話してみると楽しいと思います。

さくらばやしなお

1978年東京都生まれ。都内洋菓子店で働き、2011年に「SAC about cookies」を開店。「雑談の人」として、雑誌やウェブなどで活躍。マンツーマン雑談「サクちゃん聞いて」を行っている。著書は『世界は夢組と叶え組でできている』。ジェーン・スーとのポッドキャスト番組「となりの雑談」も人気。
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写真:石山勝敏

※この記事は『ETHICS for YOUTH』2024年春号(No.5)に掲載したものです。
※コラムはウェブオリジナルです。