あなたには今、「やってみたいこと」はありますか?「なりたい自分」を想像したことはありますか?
「人生」や「キャリアデザイン」と聞くと、遠いことのように感じるかもしれませんが、10代のうちから将来なりたい自分を想像するのは大切なこと。今は答えられなくても、「自分ってどういう人なんだろう」と考えてみることから始めてみましょう。
自分のことは意外と見えていないもの。自分のことが分かってくると、「こういう性格だから、これをしたい」「これが得意だから、時間を忘れて熱中できる」「こんな人生にしたいから、勉強を頑張る」といったように、やりたいことや、将来なりたい自分が見えてきます。
自分のことを知って、やりたいこと、なりたい自分を見つけに行きましょう。

心理学では、人は、どちらかというと否定的な考え方をする傾向にあると考えられています。例えば自分のことも、長所より短所ばかりが気になってしまうのです。
「他人と過去は変えられない」。心理学でよく使われる言葉です。過去に起こった出来事を変えられないくらい、他人を変えるのは難しいのだと考えてください。
そして、「自分と未来は変えられる」。他人を変えようとするエネルギーを自分に使うことで、よりよい自分や環境、人間関係を生み出していけるのです。
ネガティブな気持ちになってしまった時は、自分の長所に注目してみましょう。短所ではなく長所を伸ばすことにエネルギーを使うと、自分に自信が持てて、自分が好きになります。

あなたは、自分のことを本当に知っていますか?誰にでも、自分について知っている部分と、気づいていない部分があります。特に長所は、自分より周りの人のほうが気づいていたりするものです。
「好きなところ」と「嫌いなところ」をワークシートに書き出してみましょう。何にワクワクするか、どんな時に楽しいと感じるかを振り返ってみます。
自分を知るワークですから、家族や身近な人に渡して書いてもらうのもいいでしょう。「自分のことって、意外に知らないんだな」と気づくかもしれません。
自分が見た「自分」と、周りから見えている「自分」。その両方を考え合わせることで、自分をより深く理解することができるのです。


自分の好きなところ、嫌いなところを書いてみよう
ワークシートはダウンロードもできます ▶︎
ワークシートは
ダウンロードもできます

「勉強は嫌いだけど、絵を描くのは好き」「プラモデルを作っていたら、5時間たっていた」「英語が得意だから、映画は吹き替えなしで観る」。やっていて楽しいと感じたり、苦にならなかったり、夢中になれるなら、それこそがあなたの強みです。好きと可能性は隣り合わせ。そこにあなたの可能性があります。
何かを始めようとする時、「私には難しそう」とか、できない理由を並べて、始める前にあきらめてしまうのはもったいない。たとえ失敗しても、それはいい経験になります。やらないで可能性をつぶしてしまうほうが、大きなリスクです。だから、興味のあることにはどんどんチャレンジして、自分の可能性を伸ばしましょう。


今までで、一番楽しかったこと、一番嫌だったことは?
ワークシートはダウンロードもできます ▶︎
ワークシートは
ダウンロードもできます

あなたの10年後を想像してみましょう。どんな自分になっていたいと思いますか?「キラキラのキャンパスライフを送っている」「結婚して海外で暮らしている」など、「こういう自分になりたい」「自分ならこれができる」「こんな生活がしたい」と想像しながら思い描いた将来像こそ、あなたの「なりたい自分」です。
なりたい自分に近づくために、今できることは何か。そう考えることで、これからの行動や習慣が少しずつ変化すると思います。その小さな変化がやがて大きな変化になり、なりたい自分へとつながっていきます。
中高生の皆さんは可能性のかたまりです。自分を信じて、未来の自分を楽しみにしてほしいと思います。


10年後の自分を想像して書いてみよう
ワークシートはダウンロードもできます ▶︎
ワークシートは
ダウンロードもできます


今でこそ、皆さんにキャリアの積み重ね方をアドバイスしていますが、キャリアコンサルタントとして活動するようになったのは、会社勤めをしてから結婚して専業主婦になり、2人の子どもを育てた後のこと。
私も、若かった頃は、なりたい自分を見つけられなくて迷ってばかり。10代の頃に、なりたい自分を見つけてチャレンジしていたらどうなっていただろうと考え、後悔したことが何度もあります。
そんな遠回りをした経験があるので、中高生の皆さんには、なりたい自分を見つけて、少しでも前向きに生きられるよう手助けできたらと思っています。
■「書く」ことで分かることがある
自分をよく知るための3つのワークシートを用意しました。ぜひ、自分の手で書き込んでみてください。
「書く」のは面倒と思うかもしれません。でも、言葉にしてアウトプットすると、ぼんやりしたイメージが整理されて、はっきりしてきます。また、書いたり話したり、行動したことは脳にインプットされるので、意識しやすくなり、その強みを伸ばすことに役立ちます。
ここでは、キャリア講座などでもよく使うワークシートを参考に、中高生向けにカスタマイズしたものを、一例として紹介します。日記やノート、スマホなどのツールを活用してもいいですね。
中高生の頃は、いろいろなことを複雑に考えがちで、ネガティブな思考に陥りやすいといわれています。でも、人生は一度きりです。できるだけ、ネガティブに生きるより、ポジティブに生きて楽しい時間を増やしてほしいと思います。ワークシートを活用して、皆さんが、なりたい自分を見つけ、次の一歩を踏み出すきっかけになれば、とてもうれしいです。
(構成・編集部)

安部博枝

安部博枝さん
キャリアコンサルタント。株式会社abilight代表取締役。明治大学客員研究員。大手自動車メーカーを退職後、専業主婦を経て、2015年に起業。心身共に前向きに生きるためのキャリア教育・人材育成の普及に努めている。著書に『自分のことがわかる本』がある。

『自分のことがわかる本』安部博枝(岩波ジュニア新書)
写真:石山勝敏 イラスト:藤 美沖
※この記事は『ETHICS for YOUTH』2025年春号(No.9)に掲載したものです。
※コラムはウェブオリジナルです。