Q. そもそも、書くことが見つかりません
①興味のあることを一つつくる
趣味でも、推しのアイドルでも、ゲームでも、どんなジャンルでもいいので、興味のあることを一つつくっておくのは大事です。例えば、韓国アイドル。深掘りしていくと、アイドル本人への興味が、韓国のグルメや歴史、語学などへ広がったりします。すると、書きたいこともどんどん増えていきます。
②SNSが「文章修業」の入口に
SNSでどんどん発信していくことも文章修業の一つです。SNSは短文が多く、小論文や感想文などとは書き方が違いますが、自分の言いたいことを言葉にして表現する練習になります。誰かの思いではなく、自分が書いているということを心に留めて。慣れていくと、書ける文章量が増え、自分らしい文章のリズムがつかめてきます。
Q. 読書感想文が苦手です
①フォーマットを意識する
読書感想文で大切なのは、「その本を読んで、自分はどう変わったのか」です。そこに注意しながら、文章全体のフォーマット(文章の形式・構成)を意識してみましょう。前半は疑問や否定的な意見と理由を書き、後半に読書を通じて起きた変化ときっかけを具体的に書くと、最後は本を肯定する結論になりやすいですね。
②細部に注目してみる
全体の構成が決まったら、感想を盛り込みます。感想は、自分が好きなシーンやセリフ、キャラクターなどについて細かく、具体的に。「○○に感動した」より、「○○の行動は、臆病な私に勇気を与えてくれた」とか、「○○の言葉は、私のこれからの生き方にも役立ちそう」など、どこにどう感動したのかを書いてみましょう。
Q. エントリーシートの自己紹介文、どう書けばいい?
相手の知りたい情報を書いていく
進学や就活などで自己紹介をする機会は増えていきます。そんな時は、相手があなたのどういう情報を知りたいと思っているのかを考えて書きましょう。例えば、大学入試なら、相手はあなたの学習意欲に興味があります。「現代文学の研究をしたいので、○○教授のいるこの大学を選びました」など、入学したら何を学びたいのかを具体的に書くと、あなたの前向きな姿勢を印象づけられます。希望や目標を通じて自分を語ると、あなたの個性が伝わり、そこから未来も広がります。
Q. 自分のことを書くのが苦手。そんなに面白いこともしてないし
①「推し」を通して自分を表現する
自分について書くのが難しいと思ったら、自分の好きなものや、推しについて書いてみましょう。例えば、流行っている映画やマンガの感想、好きな食べものの話などを書いてみる。みんなが面白いと感じている対象を通して語ると、人柄が伝わりやすくなります。推しを語ることは、自分を表現することでもあるんです。
②全てを書こうとしない
「自分の体験や発見を書いても、他人に伝わらない」と感じる人は多いかも。そんな時は、修学旅行など、他人も興味を持ってくれそうなテーマを選びましょう。コツは、全てを書こうとせずに、印象深かった出来事にポイントをしぼって書くこと。最後まで飽きさせず、面白く読んでもらう工夫が必要なんですね。
Q. SNSでバズるようなセンスのいい文章を書きたい
①「いいな」をマネしてみる
「この人の文章って、感じいいな」とか「言葉づかいが面白いな」など、センスを刺激する文章や言葉選びを見つけたら、マネするところから始めましょう。好きな芸能人のエッセーでも、SNSでも、テレビ番組でもジャンルは何でも構いません。マネして書いているうちにあなたの感性も磨かれ、やがてセンスのいい文章が書けるようになります。
②他人の視点で考える
文章は、どうしても「自分視点」になりがちです。そこに「他人視点」をバランス良く取り入れる工夫をしてみましょう。というのも、他人に響いた文章は、自分以外のたくさんの誰かが共感したからこそ、拡散されて、バズります。そこで、「自分じゃない誰かがこの文章を読んだ時に、どう思うだろう?」という他人視点で考えて書くと、読んだ人に届きやすくなります。
Q. LINEで友だちと話が合わず、ありきたりな返事しかできない
①無理に共感しなくていい
ほかの人と違う考えを持つのは当たり前なこと。無理に共感しなくてもいいと思います。時には「その考えは、私はちょっと違うんだけど」と感じることもあるかもしれません。その場合は、否定したり批判したりせず、「それもありだけど、こんな解釈もあると思うよ」ときちんと前置きをしてから発信すると、相手も受け止めやすくなると思います。
②自分の中だけにとどめておく
SNSには、暗黙のルールがたくさんあって、どうしてもその場の空気に敏感になってしまいます。もちろん、周りに合わせることも必要だけど、空気を読みすぎると、自分らしい文章が書けなくなります。そこで大切になるのが、発信する言葉と、自分の中だけにとどめておく言葉を分けること。書くのがためらわれるのは、何か理由があるはずなので、とりあえず書かずにおきます。でも、「分かってもらえなくても、私はここが好き」という感覚は、その時の感情や理由なども深掘りして、メモや日記に書き留めておきます。他人とはちょっと違った感想は、後から振り返ると面白かったりするので、いずれいいタイミングが来た時に発信してもいいですね。それが未来の文化になったり、あなたの将来につながったりします。
Q. 文章がうまくなるコツはありますか?
①細分化して具体的に
文章を書く上で大事なのは、細分化して具体的に書くことです。例えば「面白かった」という場合、「どこが」「どのように」面白かったのかを具体的に言語化して書いてみます。細部にこだわると、「私も同じところが面白かった」「この表現、私の気持ちにぴったり」など、読む人の共感を得やすくなります。
②感想を深掘りしてみよう
細分化するには、まず、「うれしかった」「驚いた」など、心が動かされた感情を言葉にします。次に、その感情の原因を探ります。「体験できてうれしかった」「初めてだったから驚いた」など、理由について考えて、具体的な言葉にしていきましょう。自分の感想を深掘りして書くようにすると、表現力がアップします。
Q. 自分らしい文章が書けたらいいな
①自分の中の引き出しを増やそう
本やマンガ、テレビドラマのせりふやトークなど、いろいろなメディアを楽しみましょう。その時、好きだなと思える「お手本」探しをします。すると、自分がどんな言葉や文章が好きなのかを自然に知ることができ、自分の中の引き出しが増えます。引き出しに集められたあなた好みのアイテムは、あなたらしい文章を書くためのツールとして役立ちます。
②自分だけの言葉を作ろう
他人に見せる文章は、無意識に「いいと思われたい」という感情が働いて、他人の価値観に寄せて、ありきたりな言葉を使いがちです。そうならないために、「どこが面白かったのか」など、具体的な感想を書き貯めましょう。それが積み重なると、やがてあなたらしい自分だけの言葉が生まれます。これって“自分探し”にもつながる楽しい世界なんですよ。
自分らしい文章を書くための
“3つのルール”
1具体的なエピソードを交えて書く。
2読者を想定して、必要とされる情報を書く。
3たくさん本を読んで、お手本を見つける。
教えてくれたのは…
三宅香帆
1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。書評家、作家、京都市立芸術大学非常勤講師。『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』など著書多数。
マンガ:村澤綾香
※この記事は『ETHICS for YOUTH』2023年秋号(No.3)に掲載したものです。