ETHICS for YOUTH
2024年春号

[評]リズムが心の張りを伝えます。下の句のくり返し表現がいています。さわやかな決意表明でありライバルへのさんです。

[評]「人魚のうろこ」が想像をかんします。人魚伝説と重なり合って甘やかな恋歌が下の句で不安に転じます。

[評]短い中に心の過程が表されています。自分に言った言葉が自分を引っ張っていく。言葉にはそんな力があります。


 文芸創作では「何を言うか」だけでなく「どのように言うか」が大事になってきます。読み手に届くかどうかは、「何を」より「どのように」によるところが、実は大きいのです。表現の工夫です。書きたい内容が決まったら、表現を練りましょう。工夫の仕方の一つがリズムです。モノを入れることも、工夫の仕方の一つです。気持ちを述べる言葉だけよりも、例えばコップといった具体的なモノのあるほうが、読み手はコップを思い描けて、そのイメージを取っかかりに、作品世界へぐっと近づくことができるのです。

 入選作は、リズムやモノなど何らかの工夫がある作品の中から選出しました。他にも印象的な作品がたくさんありました。次回も楽しみです。

コメンテーター

エッセイスト
岸本きしもとよう

神奈川県生まれ。食や暮らし、旅のエッセーのほか、俳句にまつわる著書も多数。『俳句、はじめました』『NHK俳句 岸本葉子の「俳句の学び方」』など。

※この記事は『ETHICS for YOUTH』2024年春号(No.5)に掲載した記事に加筆したものです。

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