ETHICS for YOUTH
2024年秋号
[評]硬質の言葉が効いています。「六等星」がいいです。暗い星にもほかにはない輝きがあるし、輝きを放てる環境があるのです。
[評]近すぎてよく見えないことを「ピント」に喩えました。距離を置いてみて気づくことがあると、さりげなく伝えています。
[評]「秋」という季語が効いています。冒険の夏が終わって心が思索に向かう季節。自分の内側の新たなページをめくります。
言っていることには共感できる、内容はいいとは思う、なのに印象に残らない。そういう作品はあるものです。印象が弱くて素通りされてしまわないためには、何か一つ目につく言葉を入れましょう。
「愛」や「想い」といった抽象的な言葉を入れるのは、よい選択とはいえません。広すぎてぼんやりしていて、かえって印象が薄まってしまうのです。読む人の心にフックのようにひっかかって「ん?」と立ち止まらせることができそうな言葉を探しましょう。学校の教科書はそうした言葉の宝庫です。数学や科学の用語、地理や歴史に出てくる固有名詞などを取り入れて試してみましょう。
コメンテーター
エッセイスト
岸本葉子
さん
神奈川県生まれ。食や暮らし、旅のエッセーのほか、俳句にまつわる著書も多数。『俳句、はじめました』『NHK俳句 岸本葉子の「俳句の学び方」』など。
イラスト:髙田茂和
※この記事は『ETHICS for YOUTH』2024年秋号(No.7)に掲載した記事に加筆したものです。
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