ETHICS for YOUTH
2025-26年冬号

[評]短歌や俳句では思いだけでなく「物」を出すことで、読者に伝わりやすくなります。この歌では「スマホ」です。

[評]迷いつつも「核」をつかんでいます。「正解」「答え」「進む」「その先」など言葉どうしの関係もしっかりしています。

[評]心の叫びが聞こえます。思いをストレートに訴えるのに、短歌や俳句は向いておらず「つぶやき」ならではです。


 今回は「つぶやき」が2作品入選しました。そこで「つぶやき」という表現について考えます。

 短歌、俳句、川柳は定型詩です。五七五七七または五七五という決まった形があります。対して「つぶやき」は不定型詩。輪郭がはっきりしていません。入れる内容もまたはっきりしていなければ、全体にぼんやりして、読者には雲をつかむような話になります。

 心の内のつぶやきは行ったり来たり、とりとめのないものですが、作品にする時は揺れ動く心の「核」にあるものを、しっかりと捉えて言葉にします。その時、つぶやきは自分の中だけで閉じたものではなく、読者という他者につながる開かれたものになります。

コメンテーター

エッセイスト
岸本きしもとようさん
神奈川県生まれ。食や暮らし、旅のエッセーのほか、俳句にまつわる著書も多数。『俳句、はじめました』『NHK俳句 岸本葉子の「俳句の学び方」』など。

イラスト:髙田茂和

※この記事は『ETHICS for YOUTH』2025-26年冬号(No.12)に掲載した記事に加筆したものです。

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