若い人たちへ何かメッセージを、というお話をいただいて、まず「ドント・トラスト・オーバー・サーティー」という言葉が浮かびました。30歳以上の人たちの言うことなんて信用するな、という意味の英語であるこの言葉は、もともとアメリカの環境活動家、ジャック・ワインバーグが言論の自由運動の中で発した言葉でした。それはヒッピームーブメントのときに多く参照され、日本でもミュージシャンが音楽のテーマに用いたり、ミュージカルのタイトルになったりしました。
たいていの場合、若い人は自分より年上の人に色々なこと、自分を守り、より良く生きるための知識などを教わります。でもいっぽうで、若いときに大人を疑うことも大切な成長の過程だとも思っています。中でもまずいちばんに疑うべきは「若い人の味方みたいな顔をして近づいてくる大人」です。まるで、さも若い人の代弁者みたいな顔をして話す大人。この厳しい社会を生きる上で味方になってくれ、手を差し伸べてくれる大人はたしかに大切な存在かもしれません。ですが、差し出された手を取る前に、ちょっと考えてみることが大事です。少しだけ距離をおくこと、ひとりの話を聞きすぎてしまわないようにすること、いろんな大人と話すこと、同世代の、いろんな場所にいる人たちとも話すこと、本を読むこと、価値観や視点を広くたくさん持つこと、そうしてなにより、ひとりでじっくりと考えること。
ネットにだって真実はあるでしょう。本に書いてあれば100%正しいというわけでもない。それを、ネットにこそ真実がある、本には書かれない真実が、となってしまわないようにするには、どちらもたくさん読むしかないんです。関連の文書、反論の証拠文献、参照してきた元資料、すべての方面から見ていくしかありません。楽ではないけれど、やっぱりのんびりとでも生き延びてほしいから「信じすぎないで」と伝えたいです。
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(構成:編集部)
小林さやか
高山羽根子さん
1975年、富山県生まれ。2010年、「うどんキツネつきの」で創元SF短編賞佳作、16年「太陽の側の島」で林芙美子文学賞を受賞。20年、「首里の馬」で芥川龍之介賞を受賞。著書に『オブジェクタム』『居た場所』『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』『如何様』『暗闇にレンズ』『パレードのシステム』『パンダ・パシフィカ』などがある。


『うどん キツネつきの』
高山羽根子(創元SF文庫)
日常の中からふっと不思議が立ちのぼってくる5編を収めた短篇集。表題の「うどん キツネつきの」は、三姉妹が宇宙から来た? 犬・うどんと過ごした15年間をスケッチした小説。生き物を含めた登場するキャラクターがクールで味わい深く、読み終えると、なぜかは分からないけれど、ゆったりとしたさわやかさに包まれる。第一回創元SF短編賞で佳作となり、これがデビュー作となった。「おやすみラジオ」は書き下ろし。

『首里の馬』
高山羽根子(新潮文庫)
未名子は、中学生の頃から10年間、沖縄の小さな郷土資料館の資料整理を無報酬で手伝っている。仕事は問読者(トイヨミ)。マンションの一室で、遠くにいる知らない人に、オンラインでクイズを出題するというもの。奇妙だが静かな生活だったが、台風が通り過ぎた朝に、宮古馬(ナークー)が迷い込んできた。未名子はその馬にヒコーキと名付けた。「首里の馬」との冒険が始まる…。第163回芥川賞(2020)受賞作。

イラスト:小池アミイゴ
※この記事は『ETHICS for YOUTH』2025年秋号(No.11)に掲載したものです。