「友だち」とは?

 今号のテーマは、「友だち」。カイの悩みから対話が始まり、ただ単に「友達」について考えるだけでなく、(友達という)「言葉」の機能や、私たちの思い込みにまで迫っています。とてもポピュラーな悩み・問いなのではないでしょうか。

 まずは、アイの言うように「知り合い」、「友だち」、「親友」を区別してみて、それぞれを比較してみるのは、考えるためのよい練習になるかもしれません。皆さんにとって、それぞれの言葉はどういう意味を持っているでしょうか。

 後半の対話に特に興味を持った方もいるかもしれません。そもそも、「友だち」なんていう言葉があるから、「友だちができない」とか、「友だちと仲よくできない」と悩むのかもしれないというわけです。

 今回の対話は、あえてこう解釈してみることもできるのかもしれません。つまり、「友だち」という言葉には、特定の人間関係について(無反省に)「名前をつける」役割があるだけでなく、「そうすべき」というような「規範(人の行動や判断の基準となる原則)」が含まれているということです。その「規範」に、時には助けられたり、あるいは苦しめられたりする――そうすると、自分で考えるということには、「言葉」から自由になっていく、自分自身で関係をつくっていくという側面もあるのかもしれませんね。 

作・監修
堀越ほりこし耀介ようすけ

東京大学UTCP上廣共生哲学講座 特任研究員 / 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員(PD)。東京大学教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。専門は、教育哲学・哲学プラクティスで、特にジョン・デューイの哲学思想、「子どもとする哲学(P4C)」/ 哲学対話の理論を研究。実践者としては、学校教育の場から、自治体・公共施設、企業・社員研修まで、幅広く哲学対話や哲学コンサルティングを行う。著書に『哲学はこう使う――哲学思考入門』(実業之日本社)、「哲学で開業する:哲学プラクティスが拓く哲学と仕事の閾」(『現代思想』(青土社)2022年8月号)などがある。

作・監修:堀越耀介 マンガ:佐倉星来

※このマンガは『ETHICS for YOUTH』2023年夏号(No.2)に掲載したものです。