[ 特集 ]ミュージアムに行こう!

ランドマークのうさぎに出迎えられ、水辺の通路を進むと、美術館が見えてきました。

ガラス張りで明るい光にあふれるエントランスは、無料で利用できるオープンスペース。美術情報コーナーやミュージアムショップ、ベンチなどがあります。

大きなガラス面のある明るい「展示室1」。ポンポンの代表作《シロクマ》をはじめ、彫刻を中心に展示。順路がないので、自分のペースで、好きな作品をじっくり観賞できます。
美術館では、その館ごとに特色のあるコレクションを所蔵しています。館林美術館は、「自然と人間」をテーマに国内外の作品を収集。中でもフランスの動物彫刻家・フランソワ・ポンポンの作品が充実しています。

フランスの動物彫刻家・フランソワ・ポンポンの作品67点を収蔵しています。2021~22年に開催された企画展は全国5館を巡回しました。

フランソワ・ポンポン《シロクマ》1923-1933年 白色大理石 群馬県立館林美術館所蔵

この別館は、ポンポンの出身地、フランス・ブルゴーニュ地方の農家をイメージして建てられました。

別館内の「彫刻家のアトリエ」では、関連資料と共に、触って楽しめるポンポン作品も展示しています。

フランソワ・ポンポンについて

フランスの彫刻家。1855年、フランス・ブルゴーニュ地方の町ソーリューに生まれ、20歳でパリへ。彫刻家の工房で働き、ロダンの工房では大理石の下彫り職人として技量を高く評価されました。1895年から彫刻家サン=マルソーの助手として、ノルマンディーの田舎で過ごすようになり、動物をモチーフとした作品を作り始めます。1922 年(当時67 歳)に等身大の《シロクマ》を発表すると、シンプルでなめらかなシルエットの造形が大きな注目を集め、革新的な動物彫刻家として広く認められるようになりました。

展示室風景

館林美術館では、年間4回の「企画展」を開催しています。学芸員が毎回テーマを設けて組み立てます。ほかの美術館から目玉となる作品を借りて展示することもあります。

9月16日(月・祝)まで ※展示会は終了しました

《血路のテーブル-Cougar-》など、彫刻約100点を、作家の言葉と共に紹介しています。「展示室2~4」は企画展を開催。

9月28日(土)〜12月15日(日)

ミュージアムショップには、展覧会カタログをはじめ、オリジナルグッズが並びます。思い出と一緒に持ち帰ってもいいし、見ているだけでも楽しい。

多々良たたらぬま公園に隣接する美術館。フランスの動物彫刻家フランソワ・ポンポンのコレクションでも知られ、ガラス張りの開放的な展示室からは、自然と作品が一体になった景観を体験できます。

【ルールとマナー】
 館内では大きな声を出したり、走ったりせず、作品(展示物)の写真撮影や触るのも禁止です。ただし、撮影OKの場所が指定されていることがあります。メモを取る時は鉛筆を使います。

住所 群馬県館林市日向町2003

電話 0276-72-8188

開館時間 9時30分~17時(最終入館は30分前まで)

休館日 月曜(祝日の場合はその翌日)ほか

料金 展覧会によって異なる。中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料

企画展に合わせて、小中高生のために分かりやすく解説したガイドもあります。

館内では大きな声を出したり、走ったりせず、作品(展示物)の写真撮影や触るのも禁止です。ただし、撮影OKの場所が指定されていることがあります。メモを取る時は鉛筆を使います。

中高生の皆さんへ

最近の美術館で紹介される作品のジャンルは幅広く、絵画や彫刻、デザイン、建築、映像などさまざまです。興味のある分野をテーマにした美術館を探して、新しい価値観に触れるのもいいですね。作品と向き合った時は、解説などの情報を参考にするのも良いですが、自分なりに見たこと、感じたことを大切にしてください。それは自分との対話であり、自分を見つめなおすことにつながります。作品を通して、皆さんが何かを発見できたらうれしいです。

群馬県立館林美術館では、1年間に4つの企画展を開催しています。展覧会をつくるのは、学芸員の大事な仕事。一つの展覧会は、およそ1年半ほどかけて準備されます。どのようにできあがるのかをたどってみましょう。

1年半前〜

■展覧会の企画を考えるところからスタート。「テーマはどうするか」「どんな作品を集めるのか」「作家は誰にするか」など、いろいろ考えてアイデアを煮詰め、館内の会議で相談し、具体化していきます。

■企画の段階から展示したい作品を選び、リストにまとめて借用の交渉をします。交渉する相手は、作品を持っている作家やほかの美術館、個人の収集家など、さまざまです。

■展示用の解説を書いたり、カタログやパンフレットを作ったりするために、一つ一つの作品について、関連資料を集めて調査をし、より知識を深めていきます。
■展示室内での作品の配置を図面上で検討していきます。

■会期中は、テーマに合わせてイベントも行うので、イベントの内容も企画します。最近は、ものづくりのワークショップを通して、作家さんや作品に親しみを持ってもらえるようなイベントを考えています。

約3カ月前〜

■企画展を多くの人に知ってもらうため、ポスターやチラシを作り、関係先に配布します。また、新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどのメディアに情報を流して展覧会やイベントを告知します。

約1カ月前〜

■展示室の空間など、展覧会をどのように見せていくか具体的に検討します。看板や展示パネルなどの種類や内容を考えて、専門の業者に依頼します。

約2、3週間前〜

■作品の搬入が始まります。一つ前の展覧会が終わり、次の展覧会が始まるまでは2~3週間。この期間に、作品を展示しなければなりません。
■借りる作品がある場合は、国内外から美術館に運ばれてきます。美術品は、温度や湿度の変化、光などに敏感です。作品にダメージを与えないように細心の注意が必要なので、美術品運搬の専門業者と一緒に行っています。

■運び込まれた作品は、梱包をといて、状態をチェック。展示会場に仮置きします。作品同士のバランスを見ながら、作品の並びや間隔、高さなど展示する位置を細かく決めて、展示していきます。
■照明の明るさ、当てる向きなど、作品を見やすいように調節します。作品保護のためガラスケースに入れることもあります。

■ミュージアムショップや図書コーナー、フロントのパンフレットなども、企画展に合わせた内容にして、館内の準備を整えます。ホームページの更新やSNSでの告知も大切ですね。

オープン

■いよいよ展覧会の初日。これから会期中のイベントもあるので、気が抜けません。そして何より、来場者の皆さんの反応が楽しみです。

写真:小林真純 イラスト:藤 美沖

※この記事は『ETHICS for YOUTH』2024年秋号(No.7)に掲載したものです。
※コラムはウェブオリジナルです。