「そんなの関係ねえ!」「おっぱっぴー!」で
おなじみの小島よしおさん。
今、子ども向けのライブが大人気。
あっという間に小さな友だちをつくってしまう方法とは?
海パン姿で「そんなの関係ねぇ!」と叫ぶギャグでおなじみの小島よしおさん。今、子どもたちに大人気で、昨年は全国のショッピングモールや講演会場で、150ステージもの子ども向けライブを行ったといいます。
「なぜウケるかですか? 裸だからじゃないですか? 歌と踊りのネタが多いんで、面白いおじさんと捉えてくれているんだと思います。僕のことを知らない子もいて、初めはポカンとしながら見てるんですけど、最後にはステージに上がってくれて、コール&レスポンスっていって、僕のギャグを繰り返してくれたりします。
コロナ禍で3年くらい声を出すことが封じられていたから、一層はじけちゃったりするんでしょうね。一緒に来ている親ごさんも楽しそうにしていますよ(笑)」
「おっぱっぴー!」は みんなが仲良くなれる魔法の言葉
小島さんが子ども向けライブでテーマにしているのは「分かりやすく、楽しく、面白く」。
「ふざけるにしてもちょっとためになることがあれば良いかなと、野菜の話やSDGsなどの話を盛り込むようにしています」
例えばライブ会場で子どもたちと一緒に叫ぶ「おっぱっぴー」は《オーシャン・パシフィック・ピース》の略で、「みんな平和で仲良く」という意味。「ピーヤ」は漢字に変換して「比止」。《比べるのを止めよう》という意味が込められているのだとか。
「全部後付けです(笑)。『そんなの関係ねぇ!』も、先輩芸人からラップをやろうと言われて全然うまくいかなくて、苦し紛れに出てきた言葉。やけっぱちな感じで使ってました」
年を重ねていろいろ学ぶ中で、言葉の意味が変わっていったと言います。
「どんどん成長してきて、マンガのキャラクターが動き出すみたいに言葉が動き出してるのかもしれないですね。今って、自分のやりたいことや夢を持っていても、周りの反対意見が強く聞こえたり、雑音が多いと思うんです。そんな世の中に対して『そんなの関係ねぇ!』の気持ちを持って、自分の夢とかやりたいことに進んでほしい。そんな気持ちを込めてやってます」
人の気持ちや考えは変わる。
今日嫌だと思った友だちと、
10年後には仲良くなっているかも。
小学生の時は応援団長。中学生の時は応援団長、野球部キャプテン。給食委員長とか生徒会長とか、目立つことばかりやっていました。友だちは多かったですね。みんなと仲良かったです。
小1から野球をやっていて、プロ野球選手を目指していました。ポジションはピッチャーとファースト。高校3年生の時、夏の大会が県大会のベスト16で終わって、初めてプロ野球選手になれないかもって思いました」
高校卒業後は、一浪して早稲田大学に入学しました。
「現役時代は受験代がもったいないから法政大学法学部1校しか受けなかった。落ちてしまったので、どうせなら早稲田を目指してみんなを驚かせてやろうみたいなサプライズ願望があったんだと思います。でも、その時はめちゃくちゃ勉強しました。今考えたら無謀だと思うんですが、無理だよと言われると、結構燃えるところがあるんで。受かると思わなかったのと、でも絶対受かるっていう気持ちもありましたね。謎の根拠みたいな(笑)」
学校は、いろんな人が
集まるから面白い
弱くても居場所を自分で作る 「雑草」の生き方がお手本
2007年に「そんなの関係ねぇ!」で大ブレークをした後、仕事が減ってしまいました。
「そんなに辛くなかったですね。楽観的なんで、仕事がうまくいかない時も、資格を取ってみたり、ポールダンスをやったり、いろいろなことにチャレンジしていました。好奇心と行動力はあると思います。やろうと思ったことをすぐやるのも長所なのかな。
自分は雑草だなと思うんです。雑草って、実はめちゃめちゃ弱いんですけど、たくさんタネを作り、条件が良かったやつが生えていく。
僕も雑草に近い。自分には才能がないと思ってるんで、芸能界で才能のある人たちと同じ土俵に立つためには準備が必要。そう思っていろいろ準備をします。先輩にアドバイスをしてもらったり、後輩につきあってもらってディスカッションしたりね。
今でこそ、いろんなところにライブで呼んでもらっていますけど、ライブを良いものにするのに時間がかかったし、一人じゃできなかったと思います」
「苦手」と思ったら一回忘れてみよう
行き詰まった時は
人のアドバイスを聞いてみよう
頑張ったことは 絶対に無駄にならない
友だちといい関係をつくるためのアドバイスはありますか?
「当たり前なことですけど、相手の気持ちになるのが大事だと思います。自分が遊びたい時は、友だちが今遊びたい状況なのかを考える。自分が何かたくさんのものを背負っている時に、山登ろうよって言われても、ちょっと今重いなぁみたいになっちゃうから。
僕の10代の頃って、今の子たちみたいにいろいろ考えていなくて、ノープランで、ガツガツいろんなところに行っていたけど、それは悪いことでもなかったかなって思う。考えすぎて失敗を恐れたりしなくてもいいと思います。相手が嫌がるようなことはしちゃいけないけど、恐れすぎずに思ったことを言い合えるような関係性をつくることも大事なのかなと思う。
バランス能力って、バランスが崩れた時に立て直す能力のことをいうと思うんですね。いつもバランスが崩れないようにしていると、いざ本当に崩れた時に立て直せない。人間関係もそうだと思います。
大人になると、あの人とはけんかしたからもう会わないみたいになりがちだけど、10代は違う。いい意味でも悪い意味でも、学校でまた顔を合わせるから、関係が悪くなったとしても仲直りするやり方もまた模索できる。修復しやすい時期だと思うんですよ。
中高生たちに言いたいのは、『できるだけ打席に立っとけ』ということ。雑草がタネをたくさん作るように、機会は多く作ったほうがいい。
無駄になったものってないなと思うんです。野球で筋トレをやってたことも、受験勉強したことも、グループでお笑いをやってたことも、無駄になったものなんか一つもない。これは必要なかったなっていうことだって、自分のこれからの指針として無駄になってない。だから、みんな、何でも試してみたほうがいいよ」
小島よしおさんに聞く“10代の頃何してた?”
Q.好きだった本は?
中学時代よく読んだのは、宗田理の『ぼくらの七日間戦争』など、「ぼくらシリーズ」。『小さいことにくよくよするな!』も読んでましたね。星新一が好きで、特に好きなのは『午後の恐竜』です。星新一は大学の卒論のテーマにもしました。
Q.受験勉強は?
あまりお金のない家で、塾の授業が受けられなかったんで、参考書を買って全て自力。めっちゃ頑張りました。
小島よしお
1980年生まれ。沖縄県に生まれ、千葉県で育つ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。大学在学中にお笑い芸人の道へ。2007年に「そんなの関係ねえ!」がブレイク。キッズコーディネーショントレーナーの資格を持ち、子ども向けのイベントを開催。YouTubeチャンネルは「小島よしおのおっぱっぴーチャンネル」「ピーヤの休日【ピーヤTV】」。著書は『最強無敵の雑草たち』『小島よしおのボクといっしょに考えよう』など。
写真:中村嘉昭
※この記事は『ETHICS for YOUTH』2024年春号(No.5)に掲載したものです。